「美味しい」は難しい

お疲れ様です。9月入り朝晩は涼しくなるのかと思いきやまだまだ残暑は厳しそうです。夏バテ継続中の園主でございます。

 

さて、今年の夏は日本全国酷暑となりました。「青森の短い夏」と言われるように本来ならここ青森の夏は終わっているはずですが最高気温は未だ30度オーバーの日々。最高気温が30度ならなんだか涼しい日にさえ思えてしまうほど、今年の夏は暑かった、、、というより酷かった。

 

過去最高を更新
八月は平年に比べ平均気温が4.4度高く、最高気温が30度を超える日が30日、、、ということは八月はほぼほぼ毎日、、、。8月10日に至っては39.3度という全国ニュースになるほどに。晴れが続き、降雨がなかったため畑は干ばつ状態。なかなか雑草すら生えてこないほど乾燥してました。

こんな状況だったため、早生品種を中心に日焼けしたりんご。実りながら茶色く変色し腐敗していくという、、、なんとも恐ろしい。基本的には30度を超えるとりんごの日焼けするリスクは高まると言われていますが、今年は30日以上もさらされたもんだから当然と言っては当然。

 

早生品種の代表格「つがる」の将来性は?

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時期的にも早生品種「つがる」の着色管理をしていた時期なので、それが逆に仇となり日焼けを助長させてしまった。しかし、早生品種から仕事を進めていかいとこれから始まる主力品種「サンふじ」等の仕事が遅れてしまうので作業の手は止められない。りんご農家なら大体こんな心境だろう。
現在、つがるの収穫のピークとなりJAなどの集荷場での生産者の会話を聞いていると「来年つがるの木は伐採する」という生産者の話も少なからず耳にするようになってきた。地球温暖化の影響なのか?詳しくはわからないが、気温が上がってきているのは事実。気温が高いことで、着色不良果も多くなることも予想される。そうなると確かにここ青森でも早生品種「つがる」の栽培は厳しそうだ。今ではふじに次いで生産量第二位の「つがる」がきっと数年度にはランクダウンしそうな雰囲気。
しかし、それに代わる有望な品種がなかなか無いのも現状。他県ではこの時期の最新品種等たくさんあるようだが、ここ青森では栽培すらできないという決まりがある。早生品種に関しては収穫期の気温も高いことから、美味しいだけではなく日持ちのする新品種を願わずにはいられない。欲をいえば日焼けしにくい方がいい。

 

りんごにこだわらない方がいいのか?
収入面、リスク分散、作業面、、、効率等考え、早生品種、中生品種、晩生品種と作付けしているわけですが、8月から9月の早生品種を全て辞め、他の果樹にシフトチェンジする時期なのかもしれません。福島や山形のりんご生産者のように夏は桃、秋はりんごと複数の果樹を栽培した方がいいのでは。実際毎年のように福島のりんご生産者仲間から贈られてくる桃は絶品。ブルーベリーなんかも魅力的。

 


「美味しい」は難しい
当農園でもつがるの収穫真っ最中ですが、宅配りんごのトップバッターなのでとても気を遣う。早生品種の欠点でもある「日持ち」。完熟してしまうと当日は美味しいのに数日経つと食感が悪くなってしまう。宅配りんごを始めた当初は「美味しい」を味わってもらいたいと思い完熟つがるを送ったら数日後には数件のクレーム。確かにその品種の特徴や欠点等何も知られていなかったので当然ですね。
「美味しい」の基準も人それぞれ。甘さに重きを置く人、酸味、食感、果汁の多さ見た目、五角形グラフのように綺麗な五角形が数値化されれば一番わかりやすいが「美味しい」の基準はとても曖昧。生産者がいくら美味しいと言っても消費者が美味しくないといえばそれは美味しくないということになる。
今年はこの気温の影響もあり、着色不良や果肉の硬さに影響が出てしまった。しかし好天に恵まれ、降雨も少なかったため味の濃さは近年稀に見る出来だと自負はしているがお客さんにはどう反応するのかドキドキ。今日、ご予約いただいてある第一便の「つがる」が発送された。関東だと明日お客さんのお宅に着くはず。「美味しい」の評価はいただけるか?それともお叱りのお言葉をいただくのか?毎年この時期は胃がキリキリとする。そのくらい緊張感を持って今日も荷作り作業をしてきた。