ロイヤルカスタマーに支えられ

お疲れ様です。超農繁期に突入です。
りんご農家は主力品種ふじの収穫が始まる11月が一番忙しいと言われますが、実は10月が一番忙しいです。中性種の着色管理や収穫に加え、ふじの着色管理も進めなければ11月の収穫に間に合いません。私の場合、それらに加え日没後の荷作り作業、それが終わったら事務作業と働き方改革とは真逆の生活となります。

現代社会では物やサービスが溢れており、情報収集の手段も多様化し圧倒的なスピードで情報が拡散され折角作ったものが模倣される時代でもあります。
沢山の農家さんが直接消費者と繋がり、簡単に販売できるという利点もあります。SNSの進化普及と共に情報のスピードというのは格段に早くなり、伝えたい事や物がうまく消費者に伝わらず沢山の情報に埋もれてしまうという事もあり、SNSの使い方は年々難しくなってきたなというのが実感としてあります。

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誰に向けての情報発信なのか?
仕事柄、園主のSNSフィードには沢山の農家さんの投稿が流れてきます。農作業の様子だったり、収穫したりんごだったり、、、、。その人が誰に向けて投稿しているのかはわかりませんが、当農園のSNS等は既存のお客さんへ向けて情報発信をしています。新規顧客開拓のために情報発信してはいませんが、それでも少なからず新規顧客獲得には繋がっています。ただあくまで既存のお客さんへ向けた投稿をしているだけ。一個のりんごが出来るまでの作業内容をメインに毎年ずっと辞めずにやってきた。ブログから始まり、facebookInstagram、Threads、note。ブログなんかは投稿頻度は低いものの、毎日数十人も閲覧しているようでこんな拙い文章のブログでも投稿を楽しみにしているんだなと嬉しくも思います。

 

ロイヤルカスタマーという存在
農作業中にはいろんなラジオを聴きながら作業をしているのですが、先日聞いたラジオで「ロイヤルカスタマー」についての話題があり、とても興味深かったので自分でも少し調べてみた。

 

 

ロイヤルカスタマーとは
ロイヤルカスタマーと似たような言葉に「優良顧客」があります。違いを理解することで、ロイヤルカスタマーについても正確に定義できます。

ロイヤルカスタマーの定義
「ロイヤル(loyal)」とは「忠誠心」、「カスタマー(customer)」とは顧客を意味します。つまり、「ロイヤルカスタマー」とは、商品やサービス、企業、ブランドに対して愛着や信頼を持っている顧客のことです。具体的には、商品やサービスをリピートして利用している顧客で、企業のファンのようなヘビーユーザーを指すといってもよいでしょう。

 

 

ネットで言葉の意味を調べているうちに、沢山のお客さんの名前が頭を巡った。当農園には沢山のロイヤルカスタマーと言われるお客さんがいる事に気づいた。


◦毎年のようにりんごを購入していただいてる他に、沢山のお客さんを紹介してくれる。
◦毎年何時間もかけてわざわざりんごを買うためだけに来てくれる
◦積極的にSNSで紹介してくれる


ここ数年は毎年のように新規のお客さんが増えてきている。SNSを利用し広告も出したりしてはいるが、「〇〇さんから紹介してもらいました」と一文添えられた注文書がよく届く。見しらぬ土地でりんごの話題となり、きっと当農園のことを紹介してくれたんだろうと。

 

例年であれば、8月20日頃にお客さんへDMを郵送しご注文受付開始となるのだが、一日早くオンラインショップのカートは開けるようにしてある。これはスムーズに受注できるか?最終確認のために一日余裕を持って開けるようにしているのですが、何もこちらからアナウンスせずともその日に数件の注文が入る。これは毎日毎日オンラインショップを確認しているからに違いない。逆の立場で考えるとなかなかの労力だと思う。そこまでして毎年楽しみにしていただいていると思うと、絶対に期待以上のりんごをお届けしたいと思う。それが私の出来る唯一の恩返し。

 

美味しさの先にあるものは
「美味しい」という言葉は溢れている現代において、私の考える本当の美味しさは”お客さんとの信頼”の上にあるのかもしれない。そう考えるようになってきた。

潜在顧客よりも、見込み顧客よりも、新規顧客よりも、リピーター、よりもロイヤルカスタマーと信頼度が高くなってくる。本当の信頼を得るためには時間がかかる。その反対に信頼を無くすには一瞬。
話は変わるが、私の同級生ですし職人をやっている友人がいる。その彼はたくさんの修行をしてきて、数年前にようやく自分の店をオープンさせた。決して広くはない店内だが、平日でも満席、週末はなかなか予約は取れない地元では一気に人気店に急成長した。やっぱりそれは大将の人柄や今まで築いてきた信頼があるから。もちろん味は言うことなしという前提。業種が違えど彼に学ぶ事は多い。私もそんな彼のお店にとってのロイヤルカスタマーだろう。

 

初めての経験
当農園は地元の直売施設にも少量ながら出荷をしている。その直売施設ではバーコードに生産者の名前が記載されていて誰が生産しているのかということが分かるようになっている。基本的に規格外品を出荷しているのだが、今では指名買いいただくまでになったが、そこでの常連さんがわざわざ名前からネット検索し当農園までお越しいただいたことがある。毎年毎年、産直施設で指名買いしていたそうで、いつかは私に会いたいというお言葉までいただき、先日お会いすることが出来た。生産者としてこんな嬉しい事はない。私に会うことが夢だったとまで言われ私の作ったりんごがここまで人の心を動かすことが出来たという実感と今までやってきたことが間違ってなかったという確信を得た出来事でした。

 

今まで沢山のお客さんにお会いし、まだまだ直接お会いしたことないお客さんも多いがロイヤルカスタマーと言われるお客さんには直接お会いし「ありがとう」と一言直接伝えたい。