「負け太り」と言う言葉

連日のように大雨のニュースが報道されていますが、被害に遭われた皆様には心よりお見舞い申し上げますとともに1日も早い復旧を願わずにはいられません。
ここ青森も昨晩より大雨洪水注意報が出され雨が降ったり止んだりの1日となっております。

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園主の好きな総合格闘家青木真也さんの言葉で「負け太り」という言葉があります。負けること、失敗することで学び奮い立ち、より強い存在になるということ。
ものすごくわかりやすくいい言葉だと思っていていろんな職種にも通じることだなあと思いずっと心の中に残っています。

 

負けの状態
昨年、8月に2度の集中豪雨により園内は水浸し、地盤が緩み機械が園内に入っていけず消毒作業が出来ずにりんごの病気が蔓延、、、その後の消毒作業では蔓延した病気を抑えることが出来ず、、、、いわば「負け」の状態。基本的にりんごの病気を防ぐには予防が大事。天気予報をチェックしながら降雨前の消毒作業が基本となるのですが、昨年は前回の消毒作業から数日しか経過していないし、きっと大丈夫だろうという私の判断が間違っていた。

 

太りの状態
昨年の失敗から、今日の豪雨予報に備え、消毒散布間隔を前倒しし昨日の晴れ間に全ての園地に実施。水はけの悪い場所は水はけが良くなるように草刈りし現段階でできることはやった。昨年の「負け」がなければここまでしなかったであろう。これが少し太った状態。

よく思い返してみればりんご栽培を始めてからというもの「勝ち」の経験はないように思います。病害虫による失敗、肥料での失敗、栽培管理での失敗、天候に対応できずに失敗。沢山の「負け」を経験してきたからこそ少しずつ少しずつ太ってきたように思います。

 

沢山の「負け」を経験して何度も心は折れそうになってきましたが、沢山のお客さんが当農園のりんごを待っているということが今でも少しずつ太っていこうと思わせてくれています。今年のりんごの収穫まで残り二ヶ月程。必要以上に負けないように精一杯頑張りたいと思います!

 

 

摘果終わってまた摘果

連日の夏日の中、先日ようやく1回目の摘果作業が終わりました。家族やスタッフの頑張りもあって平年並みのペースで終えることができました。
りんごの花が咲いてからというもの休み無く働き、働き方改革とは逆行した日々を過ごしてきましたが、ようやく少しだけほんの少しだけ体と心に余裕ができました。

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摘果は何回するの?
りんごは一つの株から5つの花が咲きます。基本的には真ん中の中心花と言われる部分だけを残し残りの4つの花は全て摘み取ります。開花期間中に全てこの作業ができればいいのですが不可能なので、この時期になると一つの株にピンポン玉サイズのりんごが5個実っています。それを一つにする作業が摘果。
全ての株の実を一つにしていく作業を「一番摘果」とも言ったります。この作業を先日終えることができました。
これでだいぶ木にかかる負担も軽減できます。
次に「二番摘果」「仕上げ摘果」という作業に移ります。
園内にはイキイキとした木や、病弱な木、、、、一本たりとも同じ木はありません。まずは木の状態を見極め、どの程度実らせていいか判断し、その後りんごが現段階で変形しているもの、傷やサビなどの障害はないか?確認しながら摘果していく訳です。
それが終われば「見直し摘果」という作業になります。
見逃した果実はないか?適正着果なのか?判断しながらの作業。
通常、りんご農家は最低三回摘果作業をしています。

 

摘果へのこだわり
現段階でいい果実だけを残すのが摘果ではなく、沢山あるいい果実からさらに審査基準を高く設定し摘果していくことで、良品果がさらに良くなり、次年度以降の花芽形成にもつながるので、当農園では摘果が強いと言われたりします。実際、数年間当農園で働いたスタッフが、今は違う農園さんで働いていますがそこでは実を落としすぎと言われているそうです。摘果作業という一見誰にでも出来そうで単純な作業にこそ当農園は妥協をせずに取り組んで行きたいと思います。

 

結実確保の努力はしたか?

お疲れ様です。連日の摘果作業により手の指が悲鳴を上げている園主です。

 

園内ではようやくりんごの実も膨らみ始め、結実状況が把握できるようになってきました。場所や品種、園地によってはカラマツといった不受精果があったりしますが今のところ病気の感染もなくまずまず順調といったところでしょうか。

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近年、地球温暖化の影響なのか?雪解けが早く進み、りんごの生育も早まりつつある現状ですが、今年は過去最速に早い生育で開花し、開花期間の低温、天気などによりマメコバチの活動も鈍り交配がうまくいかなかった生産者も多いようです。

私の感覚として春が早い年はカラマツ(不受精果)になりやすいと感じていて、数年前からはできる限り、人工授粉を行うようにしています。蜂や訪花昆虫による交配は天気に左右されやすく確実性が無いため、確率の高い人工授粉を選択したという訳です。しかし、人工授粉はとても時間と経費のかかる作業でやりたくてもできないという生産者も多いようですが、当農園は必ず毎年人工授粉をするようにしています。沢山いい花が咲いたとしても受粉できなければ全く意味がありません。春からいい出来秋にならないとわかっていても同じように秋まで管理作業をしなくてはいけないのです。どうせ同じ摘果作業するのならばしっかり結実した実を吟味しながら摘果したい。’成ったりんご’と’成らせたりんご’は絶対違うはず。それはお客さんも解ってくれていると思う。

このところ、指導者という立場では無いのにも関わらずカラマツ(不受精果)についての電話が多数寄せられる、、、。その大半は自然交配だったり、訪花昆虫による自然任せの交配ばかり。できることを放棄し、その結果がそうなったのなら自分のせいでは?とも思ってしまう。なかなか、客観的に見て人は自分の責任だとは思えない。何かしらの理由をつけ自分を正当化し逃げているようにも思える。これを糧に「来年こそは!」と思って今年も頑張ってほしいとアドバイスする。

地球温暖化の影響なのか、ここ数年何かしらの自然災害がある。旱魃、集中豪雨、台風、霜、猛暑、豪雪、、りんご栽培を始めてまだ18年ではあるが、ほとんどの災害は経験してきたように思える。その度に、できることは精一杯やってきたつもりだし、「来年こそは!」と強く思ってきた。そうして少しづつ成長していくしかない。

りんご作りは一年に一度しかできない。悔いのない年になるように精一杯頑張るしかない。

りんごの花も満開

全国各地、今年は春の訪れが早くあっという間に桜の花も散りました。
桜の開花から7〜10日ほどでりんごの花が咲くと言われていますが、早咲きの桜だということはもちろんりんごの花も早いわけで、私が就農してから最速の開花となりました。

 

生産者の技量を測る
この時期、私の住む地域はりんごの花一色となります。見渡す限りのりんご畑。
しかしながら、花が咲いていない又は極端に花が少ない園地もチラホラ見られます。花が咲かないことにはりんごは実りません。極端に花が少ないと通常実らせてはいけないような場所にも実をつけなければいけなくなり、結果秋に良品は見込めません。毎年花を咲かせる技術は生産者の技量の一つだとも言えます。

 


満開のりんごの花

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りんごの木の下で花見
りんごの木下で花見でも出来ればいいのですが、この時期りんご農家にとってとても重要な時期なので遊んでる暇はありません。


◦来年受粉用の花粉採取
◦病害虫防除の重要時期
◦摘花
◦交配作業
主な作業内容は上記の4つとなります。

 

まずは、来年受粉用の花粉の採取。
当農園では主に「王林」「シナノゴールド」の花を摘み取ります。風船状に膨らんできた花を選びながら全て手作業でコツコツと集め、その日のうちに脱葯機という機械で葯だけにし、開葯し来年使用する時まで冷蔵保管しておきます。

 

りんごの開花期というのは、ものすごくデリケートな時期で病気にもかかりやすい時期となります。春に病気になった病班は秋になって収穫時期になっても消えることはなく、病気になってしまってからは遅いというのが怖いところ。病気のほとんどがカビや細菌などで目に見えないので防除するには予防するしかないのが現状。天気予報を何度も見ては、雨や気温などから菌が飛散しそうな日の前に消毒することが基本。この時期に適切に防除することで後々の防除が楽になり散布量の軽減にもつながります。

 

春の一大作業といえば、摘花。先にも記載したように花を毎年沢山咲かせるのは生産者の技量。沢山咲かせた花を今度は沢山摘花します。なんだか矛盾しているようにも思いますが、いいんです。沢山咲かせた花を今度は沢山摘花し沢山実らせます。沢山咲かせるとで、いい花、悪い花を瞬時に見極め摘み取ります。いい花ばかり残すというわけでもなく、いい花ばかりあったとしても適度に摘み取ります。そうすることで今年のりんごの肥大や来年の花芽形成への養分が周り、来年度も沢山の花を咲かせてくれます。

 

そして何と言っても大事な作業が交配作業。りんごは自家受粉できない植物なので一個のりんごが実るには他の品種の花粉が必要となります。「ふじ」には「王林」、「つがる」には「シナノゴールド」といったように。数年前まではマメコバチを飼育し開花期に放してのハチ任せの交配でした。しかし花が咲いていいタイミングでハチが出てこなかったりして不受精果が多くなり、これではダメだと思い三年前からは全て人工授粉を行うことしました。満開に咲いた花一つ一つに確実に交配していくわけですから気の遠くなるような作業です。りんごの花のメシベの受精能力は条件がよくて5日あると言われていますがあくまでも条件がいい場合。今年のように風が強ければメシベの柱頭が乾燥し乾き、受精能力も短くなるので交配作業にはスピード感も求められます。もちろんスタッフ総出。朝から日が沈み見えなくなるまで「私はミツバチだ」と言い聞かせ交配作業。

 

延4日間、交配作業に費やしました。周りの農家にはそこまでやるか?などと言われますが、1年に1回しか収穫できないのでその年その年の最善を尽くし、自分で納得できる仕事をして秋を迎えたい。あの時こうしておけばよかった、あーしておけばよかったでは一年無駄にしてしまう。仮に秋にいいりんごが出来なかったとしても精一杯管理してきた結果ならきっと自分ですぐに納得できるはず。すぐに反省、改善できる。

と、こんな感じで開花期のりんご農家はものすごく忙しいのです。
現在、園内では落花も始まり、りんごの幼果期へと移行してきます。しっかり受精したりんごの花は落花も早く、今年は順調に生育してほしいと願うばかりです。
忙しい忙しいといっているに流石に今日は休んだ。雨で最高気温も一桁台、、、この時期にこれだけ気温が下がるのはなかなかない。これからの果てしない摘果作業に備えて今日はゆっくりと休もう。

肥料高騰が止まりません、、、

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農業にとって必要な肥料 三大要素
肥料の三大要素といえば、窒素、リン酸、カリ。農作物を作る上で欠かせない要素なのですが、その中でもリン酸の高騰が止まりません。

その原因が


◦世界シェア4割の中国の環境保護策で大幅な生産量減
◦世界的な穀物需要の増加
◦エネルギー価格の上昇
◦ロシアによるウクライナ侵攻
その他にも色々と複合的な影響があるのでしょう。
一農家としてはどうすることもできませんが、農園には肥料は必須となります。
20キロ3,300円だったのが今年は20キロ5,000円以上となりました。。。
肥料価格は年々上昇していたのですが、これほどまでに大幅な値上がりは経験したことがありません。

 

化学肥料は悪なのか
化学肥料とは化石燃料や鉱物資源を科学的に合成して作る肥料のこと。
化学肥料の化学という言葉に対しての忌避感がすごいと感じて、有機農業などは正義かのような報道も目立ちます。
しかし、私はものすごい画期的なテクノロジーだと思っていて、農業を続けていくには必要なものだとも考えています。
詳しい年代は忘れましたが、スリランカ大統領が化学肥料と農薬を禁止しました。どうなったかというと、穀物の国内価格が50%UP。それに加え自然災害等あるとさらに価格は上昇したでしょう。高価格で販売されることは農家にとっていいのではと思いますが、あまりにも高価格だと消費者は購入しません。80億人の人口を養うには化学肥料は必要。

 

今回の急激な肥料高騰で変えたこと
まず、今まで購入していた肥料(有機70%)だったものを、国産有機肥料100%としました。今までは国産有機肥料といえば、高級肥料という位置付けだったのが今では国産有機肥料の方が安価に購入できるようになりました。ずっと使用したかった肥料が価格逆転したことで国産有機肥料に切り替えることにしました。

 


当農園オリジナル肥料
即効性の魚カスを主体に登熟促進や味上げで使用される海藻を混ぜ、それらを乳酸菌、酵母菌、光合成細菌などの有用微生物群で全体発酵させた当農園オリジナル。
そのほか、微量要素も配合し、肥料会社担当者と何度も何度も打ち合わせし完成しました。今年初めて施肥したのでこれからの変化が楽しみでもあります。

 

肥料高騰で堆肥のみの施用に切り替え
ここ数年の肥料高騰で肥料の施肥を行わず、堆肥のみを園内へ撒く生産者も多く見かけるようになってきました。なぜそうしているかというと、肥料が高いので15キロ数百円で購入できる堆肥を使うようになったとか。毎年この方法でもりんごを生産してきてるので問題ないと。この言葉に私は少し違和感を持っています。果物を作る上で欠かせない三大要素(窒素、リン酸、カリ)は土壌中に必ずあるもので、地力のある土壌ならば問題ないが、私の住む地域の土壌はそれらの成分が不足気味だと一般的に言われている地域なので少しでも毎年施肥した方がいいように思っています。

※堆肥とは稲藁や家畜の糞尿、食品残渣などのさまざまな有機物を微生物の力で分解させ成分的に安定させたもの。堆肥の成分にも肥料成分は含まれていますが、肥料成分の効能というよりも土壌改良としての効果を期待して施用されるのが一般的。


肥料を沢山やることがいいことなのか?
私の父親世代、60才以上の生産者と話をすると、大きなりんごを採るために肥料は欠かせない、沢山肥料を撒くことで秋には大きなりんごがみのり、肥料代以上のリンターンを得ることができると話します。
私も父からそのように言われていたことを思い出します。しかしその年りんごは小玉傾向、、、その年撒いた肥料でその年りんごが肥大することはありませんでした。その年、土壌分析も実施し土壌成分をみてみると三大要素は不足しているどころか、どれも少し多めの検査結果だった。
何を期待して肥料を撒くのかは生産者によって異なります。
私の場合は施肥することで「味上げ」を期待しています。
今回、撒いた肥料も味上げ特化型肥料と言ってもいいでしょう。

 

目に見えにくいからこそ大事なような気がする
肥料を撒くこと。根っこが健全に伸びているのか。土の状態は。。。
全部目には見えない。
地上から上、木の肌色、枝の伸びや太さ、葉っぱの大きさや色、厚み。目に見えるもので地下部分がどうなっているのか?判断しなければなりません。自分の目指す「いいりんご」とはなんなのか?これも生産者毎に違います。
自分の目指す、「いいりんご」を収穫するためには、目に見えない部分もしっかりと妥協なく管理しようと思います。

 

日本一と言われる弘前の桜

今年の冬は豪雪で、きっと遅い春になるであろうとの予想とは逆に三月に入ってからの好天でみるみるうちに積雪もなくなり木々の生育も早まって全国的に早い春の訪れとなったようです。
気温の上昇とともに桜前線も北上し、ここ弘前でも桜の季節となりました。

弘前の桜の特徴

桜の木は一般的に切らないと言われていますが弘前公園の桜はりんごの剪定技術の応用で剪定管理されています。園内には約2600本の桜の木があり、「弘前方式」と言われる剪定方法などにより、一つの蕾から通常2〜4個の花が咲くのに対し、弘前公園の桜は4〜5個の花が咲いています。そのためボリューム感のある桜が楽しめます。

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モコモコした桜

日本一太いソメイヨシノと最長寿のソメイヨシノ

弘前公園内には日本一幹回りが太いソメイヨシノも存在します。幹回りは537センチ、樹高は10メートル以上。植栽時期は定かではありませんが、推定樹齢は100年以上。幹回りには柵が設けられ園内の桜の中でも厳重に管理されているのが伝わります。
この木と同時期に旧藩士の菊池楯衛から1882年に寄贈された樹齢約140年。ソメイヨシノの寿命は60年ほどと言われていますが、弘前公園には100年以上の木が300本もあるのが魅力の一つです。菊池楯衛氏はりんご業界にとっても偉人の一人で「青森りんごの開祖」と言われりんご栽培技術を広めて青森県がりんご主産地になる基礎を作ったと言われています。

やっぱり夜桜がいいよね

夜桜を楽しみたいのならやはり、西濠付近がおすすめ。
春陽橋は抜群のフォトスポットとなっておりなかなか橋を渡れないということもしばしば。

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春陽橋から

撮影場所がどうなっているかというと↓

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春陽橋で撮影する人々

この濠の反対側からの眺めが私のお気に入り↓

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ボート乗り場から

最近はSNSで話題にもなったハート型↓

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ハート型、、、

撮影場所にはお年頃のカップルばかりが順番待ちするほど最近は人気スポット。おじさん園主は彼らの目を気にしながら列に並び何とか撮影、、、。

運が良ければ見られる花筏

桜の花が散ったタイミングで見られるのが外濠の花筏

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濠に浮かぶ花弁

花筏を見られるのは1日のみ。時間が経つにつれ花弁が変色しピンクの絨毯だったのが茶色の絨毯に、、、。

桜切るバカ、梅切らぬバカ

昔からの言い伝えで「桜切るバカ、梅切らぬバカ」という言葉があるように桜の木は剪定しないということが一般的。弘前方式と呼ばれる管理方法によって剪定管理され100年以上もの木が未だ毎年満開の花を咲かせてくれます。また弘前公園には「桜守(さくらもり)」と言われる樹木医の方々の存在も忘れてはいけません。

実はコロナ禍だった年が一番だったとも

数年前から猛威振るったコロナ。全国各地でイベントが中止され弘前さくらまつりも開催中止した年がありました。公園に入る出入り口は封鎖され中の様子は遠目でしか見ることができませんでした。しかしその年の桜は今までで一番の咲き具合だったとか。。。確かに外濠の桜は花量が多く感じたように思います。今思えば、世の中先の見えない暗いムードの中、我々を元気つけるように咲いていたのかもしれません。

コロナが始まってから桜祭には行けてませんが、当農園から車で15分で弘前公園です。市内に用事があるときにはわざと期弘前公園付近を通ってみたり。4月11日今日外濠は満開となったようです。園内は2日後満開の予定。
園主が子供の頃はGWに桜が開花〜満開となっていました。昨今はずっとGW前に桜が咲いて、今年は記録的に早い開花となってしましました。りんごの生育も然り。5月に咲いていたりんごの花も今年は4月下旬には咲きそうです。

数年後、4月中旬には桜の開花、4月下旬にはりんごの開花が標準となっているのだろうか?

※写真は過去PIC。無断使用厳禁です。

 
 
 
 
 

 

剪定終了〜春の準備へと

お疲れ様です。今年から歯医者を変えたら虫歯が4本も見つかり治療中の園主です。
昨年末から始めた、剪定作業も先日ようやく終わりました。日数にして100日以上。吹雪の日も、大雪の日も、雨が降っても。剪定作業は園主である私が全ての木を管理しているのでとても時間のかかる作業の一つです。

 

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記録的に早い春
2月までは気温も低く、園内の積雪も豪雪だった昨年並みに多く今年は遅い春になると思っていたものの3月の好天、気温上昇が続きあっという間に消雪。その後も気温が高く推移したため、3月20日すぎには発芽するという記録的な早さ。平年の発芽日は4月10日前後なのでかなりの早さで生育が進むことになる。近年もずっと早い春だったがこの早さで発芽したのは初経験。温暖化の影響が顕著に現れているように感じ、今年のような気候が標準となっていくのだろう。

 

早い春のメリットやデメリット
早い春の訪れは収穫までの栽培期間が長くなるのでその年はおいしいりんごができるように感じる。これはあくまで主観。
しかし、早い春にはデメリットも多く、なんと言っても霜害に遭いやすくなる。発芽したばかりの新芽は低温に弱く、マイナス2度を下回ると花芽が凍りつき茶色く変色、大事な花が咲かないということになります。一昨年は全国的に果樹の霜被害が多く、生産量も激減した年でした。もう一つ、剪定作業の遅れによる樹体の貯蔵養分の減少。りんごの花芽はこの時期貯蔵養分によって芽吹きます。剪定されていない木は剪定されてある木に比べ、花芽の数も多くその分だけ貯蔵養分を使ってしまいます。貯蔵養分の減少した木は樹勢が著しく悪くなり、いろんな病気の原因にもなったりします。

 

平年は当てにならない
りんご栽培は歴史が長く、沢山のいろんなデータが存在します。平年の発芽日。平年の開花日。平年の落花日、、、、私もずっとこれらを参考に作業計画を立てたりしてましたが近年は平年よりもずっと早い状態に。平年は参考程度に、自分で平年を決めることとしました。今までは4月10日まで剪定作業を終えれば、その後の作業も計画的にと考えていましたが、昨今は3月末までに剪定作業を終えなければと思い作業を進めてきました。

 

朝ご飯の時間です
春が早いということは、木が休眠期から目覚め、それと同時に地中の根っこも活動を始めます。長い冬を乗り越え目覚めた木々には朝ごはんが必要です。肥料の施肥時期となるのですが、昨今の物価上昇の煽りを受け肥料も高騰。昨年まで20キロ3,300円だった肥料が今年は5,000円以上となり、農家は頭を悩ませております。私の考える施肥とは、必要以上の肥料をやらないこと。少し足りないくらいがいいと考えていて周りの生産者よりも少なめに施肥しています。今回の肥料高騰の件で肥料というものに改めてフォーカスし今まで使用していた肥料を全部変え、国産有機肥料のみとすることにしました。魚カスを主体に味上げで使われる海藻を混ぜ、乳酸菌、酵母菌、光合成細菌等の有用微生物群原料で全体発酵させたもの。一概に魚カスと言っても赤身の魚、白身、青物、、、色々あります。魚カスとなる魚種や海藻の種類まで指定し、他にも微量要素を数種類配合し当農園オリジナル肥料を設計していただきました。これからのりんごの味がどう変わっていくのか?今から楽しみ。

早い春はこれまで何度か経験してきましたが、今年のような早さの春は未経験。どのような年になるのか?乞うご期待。